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午後の休憩時間に、再び仕事が始まりました。
「少ない人数でやっているからね。注文が入るとね。一日休めないよ。スタッフもがんばってくれているからいいんだけどね。それよりちょっと手伝っていかない?」 |
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忙しくても、ていねいな仕事ぶり。スタッフに仕事を見せながら教えます。
「修行は、まず見ることだね。細部まで先輩の仕事をよく見て、体で覚えること。覚えたら、勉強して頭の中で、理論化、体系化していく。大変だけど、大切なことだよ。」 |
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フルーツがきれいに盛られます。
「素材の考え方は非常に大事だね。イタリアはとくに素材を重要視する。季節には季節の材料があるから、それを重点的に使うこと。色合いも大事だから、バランス良くね。これも体で覚えるんだ。慣れると、瞬間的にわかるよ。」 |
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いい焼き具合。シェフは慎重に焼き具合を確かめます。
「オーブンを見られるようになるればOKだね。そこまでいくには大変な努力がいるけどね。お菓子が焼けていく状態を目でわかる、触ってわかるようになるまでは、毎日毎日、努力の積み重ねだよ。」 |
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シェフ愛用のナイフとパレットナイフ。20数年使い続けています。
「修行時代から使っているよ。ほんと、長いつきあいだね。これをまじまじ見ているとよくやってきたと我ながら思うよ(笑)。」 |
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特別な注文にも応じます。
「注文も結構多いからね。これはね、以前作っていたお菓子なんだけど。これのファンがいるんだけどね。商品の種類を限定しているから、今は作っていないんだ。まぼろしのお菓子?だね(笑)。素材を生かした軽いクリームだけど、甘さを押さえた個性のあるお菓子だよ。でもそのうち店に出すよ。」 |
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スタッフも休みなしでがんばります。シェフもていねいにアドバイス。
「火傷しないようにね。もうちょっと焼いたほうがいいね。色や生地の状態を見るとね、これではまだ焼きがあまいんだよ。もう少しだね。」 |
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きれいにケーキを仕上げます。
「生ケーキの仕上げ?仕上げは、単純に、明快に、そして繊細に。自然にそうなるんだよ。自分の個性なんだね。イタリアもそう。単純にして明快!だからイタリアと相性がいいんだ(笑)。」 |
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「イタリア菓子ねえ。まあ、ヨーロッパ菓子の原点だよね。さまざまな国のお菓子がここから出ていったんだ。深いお菓子だよね。」
「仕事?そうだね。ぼちぼちやっているよ。手を抜かず、でも気取らず、マイペースでね。落ち着いて、ていねいにやりたいんだ。」
「キャンティ時代?イタリアのお菓子の原点と自分の個性をいかに融合するか、大きなテーマだったね。機関車のようにがむしゃらにやってきて、ある年齢を境に、ようやくわかったね。使う素材から始まって食べた食感まで、トータルにわかるんだ。そうすると突然、僕のお菓子がはっきりした。感動したよ。それからキャンティのお菓子に魂が入り込んだようになった。」
「将来ね。まだ、落ち着いて考えてはいないんだけど。これを続けていくと、別の境地に立てるかもしれない。そのときは、芸術のお菓子を作っていたりして(笑)。」 |
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