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HOME(トップページ) > Life@Chef(永井 紀之シェフ) > ノリエットのこれから
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魅力的な笑顔の永井シェフ

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ノリエットのこれから

「ノリエットを初めて、この秋で10年になるんだけど、最初の頃と今とでは、いろんな意味で僕自身も変わってると思う。僕自身の価値観というのはフランスいた頃とあんまり変わってないんだけど、それでもやはり少し日本になじんできている部分があるので、『日本人に向いた事をしよう』という意識がなくても自然とそっちの方向に歩み寄っているだろうし。自分でいつも思うのは、新しい事、変わった事をしようというよりも、フランスの食文化の中からいかにはずれないように存在するかということ。日本のあたりまえのみんなの要求を受け入れていたら、知らない間にフランス菓子屋じゃなくて洋菓子屋になっちゃう、というのはすごく思っているので。その辺は、要求される事はわかっているけれども、やはりフランス菓子屋としての幅からはずれないように、というのがずーっとノリエットの方向性というか。そこでマスコミ的に陽が当たろうと当たるまいと、僕はそこからはずれない中でやっていくしかないし」

「10年やってきてそれなりにここで楽しめたんで、この先より楽しむためには、次にこの菓子屋で何が必要かというのももちろん考えてる。それを実現するために今年ビストロを始めたんだけど(※1)、そのビストロを始めたというのも、これから先の10年間を楽しむために、菓子屋一軒じゃなかなかできないから、料理もやりつつお菓子もやるというところで、フランスの食文化というものを表現していくというか。お菓子だけだと、どうしても日本では買う人が違う意味で求めるので、なかなか難しいんでね。レストランやりつつ、こっちでトゥレトゥール(※2)みたいな総菜系統出したりするのもおもしろいと思う。だから行く先はきっと、そういうお店になっていって、あんまり日本的には陽の当たらないお店にどんどんなると思う。日本的に、というのは変な言い方だけども、フランスにあれば当たり前の、陽の当たる必要もなんにもないただのお菓子屋としての道だと思うし。ビストロの方も別に三つ星狙ってやっているってようなんじゃなくて、もちろん質の高さというのは常に求めていくんだけど、ごく当たり前に食事を楽しみに行く、というような店にしたいと思っているので。菓子屋が姉妹店としてあるから、デザートは少し気の利いたものが食べられるレストランとかね、そういう感じで。逆に菓子屋に来れば、当たり前のフランス菓子屋なんだけど、料理系統の物が豊富にあるとか。そういう中で、ノリエットに関わる人もビストロに関わる人も、みんなが自分の生活の中に、日本の文化と違うフランスの食文化というものに触れるような機会が多くなる、というのが基本的にうちの存在意義だと思っている」

「たくさんの人にお菓子を買ってもらうとことよりも、うちと頻繁につきあう人が、自分の生活の中に、異国の食文化というものがあるということ、で、そこにまた新たな価値観だとか感覚というのが生まれたりするのがいい事で、別にすべての人にとって都合のいい事だけを与えるという気はないんで。フランスにいる時に僕が感じて良かった事というのがあって、そういう事をみんなにも感じてほしい、というのが一番にあるので、お店を通してそういうことを伝えていかれればと思います」

※1
BISTRO Le Petit Lutin(ル・プチ・リュタン)
世田谷区世田谷4-7-3
※2トゥレトゥール
菓子店で製造する仕出し料理
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